スマホの位置情報を活用したジオターゲティングによる広告の特徴、そのメリット・デメリットと成功事例を紹介

#広告コラム

最終更新日:2024年02月09日

スマートフォンやタブレット端末の普及と共に、
その位置情報をもとに最適なマーケティングができる「ジオターゲティング」。

なんとなく言葉は聞いたことあるけれど、まだ詳細については理解していないという
マーケティング担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、より具体的に「ジオターゲティング」とは一体どのようなものなのか、その広告の特徴や、
メリット・デメリットについてお届けします。
記事後半では、活用事例もご紹介しますので、広告運用を検討中の方もぜひご覧になってください。

 

ジオターゲティングとは?

ジオターゲティングとは、パソコンやスマートフォンでインターネットに接続する際に
割り出せる位置情報をもとにして、広告配信を行うマーケティング手法のこと。

「位置情報をもとにして」と前述致しましたが、個人情報保護の観点から、
個人を特定できる位置情報については利用しないというのが原則になります。

ジオターゲティングの基本的な仕組みとしては、スマホに搭載されている「GPS」や「ビーコン」、
さらには「IPアドレス」によって取得した位置情報を活用して広告配信ができることです。

ジオターゲティングで配信できる広告とは?

位置情報をおおまかに特定し、ユーザーの居住地や地域に根ざした広告を配信することが可能です。
たとえば、ユーザーが現在いる位置情報を取得して、
実店舗から半径〇〇kmの対象者に広告を配信できます。

また、過去の訪問履歴情報を活用して広告配信ができるため、
自社店舗訪問者に対しても広告が配信できるだけでなく、
競合店舗を利用するユーザーに対しても広告を配信することができます。

更にはジオターゲティング広告では、エリアを指定するだけでなく、
年齢、性別で追加セグメントすることができます。

ジオターゲティングの特徴

ここでは、マーケティング施策における
ジオターゲティングならではという特徴について紹介いたします。

スマホ・アプリの位置情報を活用した広告配信が可能

ジオターゲティングの最大の特徴は、スマホ・アプリを使用する際に取得できる
位置情報を活用して広告配信が可能なことです。

なぜスマホ・アプリを使用すると位置情報を取得することが可能なのか見ていきましょう。
スマホやアプリを利用すると、以下の方法によって位置情報を割り出すことが可能です。

GPS

みなさんご存知のようにスマートフォンには、
位置情報を認識できる「GPS」機能が搭載されています。

GPSとは、「Global Positioning System」の略となり、地球上に打ち上げられた衛星によって、
スマホに向けた経度や緯度を割り出せます。

これにより、機器を所有しているユーザーの位置情報を測定できるわけです。

それゆえ、店舗の周辺にいる自社アプリユーザーに向けて、
クーポンを配信するなどの施策が可能。

もちろん、GPSにも弱点があります。

電波は宇宙から飛ばすため、建物内やビル、木々が立ち並ぶ場所、
天候によっては正確な位置情報を割り出せないことがあります。
地図アプリを利用していて、自分の位置情報がずれるときがあると思いますが、同じ理由になります。

Wi-Fi

最近では、街の至るところでWi-Fiが利用できるようになりました。

このWi-Fiでも、アクセスポイントから受信できる端末を認識し、
位置情報を取得することが可能となります

位置情報が取得できる仕組みとしては、アクセスポイントからの電波の強弱および
到達時間を利用した「三点測位」によって割り出せます。

アクセスポイントが多い街中では、ユーザーの位置情報が特定できるため有効な施策ですし、
GPSではカバーできない建物内や地下なども視野に入れる場合にもおすすめ。

とはいえ、弱点もありアクセスポイントがあまりない場所だと正確な位置の割り出しが困難です。

基地局

携帯電話の基地局から送信される衛星軌道データを利用して、
位置情報を割り出すことも可能です。

たとえば、GPSを利用した位置情報の特定は、
衛星からの電波が届きにくい建物内やビルが立ち並ぶ場所では、正確性に欠けます。

そのような場合には、GPSを補うために携帯電話会社が配置している各基地局を利用して、
端末までの距離を測定し「A(assist)-GPS」を利用する場合が多いです。

この方法を用いることで、ユーザーの現在地に近い携帯電話の基地局にアクセスし、
おおまかな位置情報を算出し、それを補うためにGPS衛星からの信号で現在地を計算するのです。

来店計測が可能

ジオターゲティングの2つ目の特徴として、「来店計測が可能」という点です。

ジオターゲティングによって広告配信されたバナーを見た方、
クリックした方に分けて広告を計測することができます。
そのため、通常のウェブ広告では把握することが出来なかった
バナー広告の未クリック者に対する効果測定をすることができます。

ジオターゲティングのメリットとデメリット

ここでは、ジオターゲティングにおけるメリットとデメリットについてより具合的にお届けします。

ジオターゲティングのメリット

ジオターゲティングは、位置情報からさまざまなエリアを指定し広告配信が行えるため、
多くのメリットが存在します。

エリアを指定して広告配信をすることが可能

位置情報を活用して「建物」「駅」を指定して、
半径○○Mで広告配信をするという広告配信が可能になります。
たとえば、自社店舗をあらかじめ指定しておけば、
自社店舗に来店した顧客の位置情報のログを取得し、
それらのターゲットに向けた広告配信が可能になります。
他にも「○○駅」に週3回検知したユーザーに対して広告配信すると設定をすると、
「○○駅」を利用している方となるため、
その指定駅を利用する居住者もしくは勤務者に対して広告配信をすることができます。

訪問先の過去情報を利用した広告配信も可能

ジオターゲティングは、現在の位置情報や過去の位置情報を利用して、
エリアを指定した上でピンポイントの訴求ができるのが最大のメリットですが、
エリア指定だけでの広告配信にとらわれません。

位置情報をもとに行動履歴で広告配信をすることができます。
たとえば、フィットネスクラブを利用している方、エステ・美容整形クリニックを利用している方、
ゴルフの練習場にいく方、住宅展示場を訪問した方など、
自社のサービスの競合利用者だけでなく、
自社サービスのユーザーと親和性が高そうな方々に対して広告配信をすることができます。
そのため、ジオターゲティングと他のデータをうまく活用すれば、
より精度の高いマーケティングを実施できます。

指定場所を中心としたリアルタイムの広告配信が可能

前章に関連付き、ジオターゲティングは今ここにいるユーザーに向けて、広告を配信できます。

たとえば、近所のスーパーを利用するユーザーがより多くの買い物をする夕方に合わせて、
近隣スーパーの特売情報を広告で配信すれば、
無駄な広告を打たずに済み、高い広告効果が期待できます。

そのほかにも、公共交通機関を利用中のユーザーやイベント会場に訪れているユーザーなど、
指定場所を中心としてリアルタイムの配信ができるのが最大のメリットになります。

OtoO施策にも高い効果を発揮

ジオターゲティング広告が得意としているのは、実店舗を所有している企業。

過去店舗に来店した方に限定して、
ジオターゲティング広告を実施して実店舗へ来店を促す
「OtoO(Online to Offline)」でも効果を発揮します。

たとえば、過去自社店舗に2回以上訪問した方に対しセールなどの広告を配信し、
そのままリアルタイムで来店をつなげられます。

来店計測で広告配信後の分析も行える

ジオターゲティング広告では、ネット広告を配信した後に、
来店者ベースで効果検証を行うことが可能となります。
バナー広告を見た方でクリックをしていない方でも広告計測を図ることができます。
また、専用のWi-Fiシステムを設定して専用ツールをご利用される(別途有償)と
他の交通広告などのリアル媒体の計測も実施することができます。

ジオターゲティングのデメリット

次にジオターゲティングにおけるデメリットについてお届けしてまいります。

ジオターゲティングの効果検証にはGoogleアナリティクスか専用ツールが必要

広告の配信エリアにいるターゲットに対して、リアルタイムで集客を可能にするジオターゲティング。
しかし、自社ウェブサイトでのコンバージョン測定するには、
Googleアナリティクスと連動させるか、もしくは専用ツールを導入して効果測定をする必要がございます。
(来店者ベースでしたら、計測可能になります。)

セグメント条件を絞り込みすぎると配信されにくくなります。

ジオターゲティング広告は、過去の訪問履歴情報を使った広告配信、もしくは
今ここにいるターゲット層に密着して広告を配信できるのが最大のメリットでした。

ただ、セグメント条件が厳しすぎると広告最低ロットとの関係上、配信できなくなる可能性があります。
そのため、ある程度のボリュームが出るようにセグメントと設定をする必要がございます。

ジオターゲティング実施に際して押さえておくべきポイント

ここからは、ジオターゲティング実施に際して押さえておくべきポイントについてご紹介します。
ピンスポットのセグメントで訴求できるからこそ、押さえておくべきポイントがあります。

目的を明確にする

ジオターゲティングは、「いまこの場所にいる人への広告配信」と
「過去に行ったことがある人」への広告配信を得意としています。
その関係で、どのターゲットに訴求するのか、
目的を明確にしないと効果が乏しくなるのも事実です。

たとえば、「病院に勤務する看護婦さんに限定して、分譲マンションの広告を配信し、
モデルルームに来場してもらう」など目的を明確化しましょう。

目的に合わせた広告配信

さきほどの例でお伝えすると、看護婦さんということになるので、週5回以上訪問する方で、
性別が女性、年代が30代から40代と設定します。
更には物件がある住所を考えて、
利用する沿線、周囲○○kmというエリアを指定することも可能となります。
(広告の絞り込みには注意をしましょう。)

配信条件が厳しすぎると配信回数が減少する

さきほどもお伝えしましたが、よりピンポイントに広告を配信したいからと配信条件を厳しくしすぎると、
広告自体が配信されにくくなります。

事前に広告配信の目的や、目的に合わせた配信を心がけ、
あまり条件を絞りすぎないようジオターゲティングでの施策を考えてください。

ジオターゲティング広告の成功事例

ここでは、ジオターゲティング広告における成功事例についてご紹介します。
ジオターゲティング広告は、実店舗への集客をリアルタイムで行うのに最適なマーケティング手法です。

ぜひジオターゲティング広告の成功事例を参考に、自社での導入を検討してみてください。

地域密着型スーパーの事例

地域密着型のAスーパーでは、これまでの集客戦略は特売日に、
周辺地域に新聞折込を中心にチラシによる訴求を行なって参りました。

しかし、若年層を中心に年々新聞購読層が減少し、
折込チラシによる集客効果が低迷していきました。

そこで、これまでの折込チラシによるマーケティング手法から、
Web広告を中心とした手法に転換。

また、地域性の強い密着型スーパーであるため、
ジオターゲティング広告との相性も良いと判断し導入を決意。

デジタル広告の導入にはいくらかかり、
その投資効果はチラシの代替になるのかを検証しました。

その結果、来店コストは1,000円以下を実現することがわかり、
その中でも、特に効率が良かったのが
店舗周辺へのリアルタイム配信で、来店単価129円という結果が出ました。

(出典:Cinarra Systems Japan 株式会社 https://cinarra.co.jp/blog/1361/

スキー場への集客効果を最大化したアメリカ・モンタナ州の事例

アメリカのモンタナ州には、数多くのスキー場が存在します。

スキーシーズンに突入すれば、多くのスキーヤーの集客が期待できると考えがちですが、
モンタナ州の場合には魅力的なスキー場が多いにもかかわらず、
知名度が低く、観光収益が乏しい状態でした。

これを改善しようと、
モンタナ州観光局は2万5千ドルの資金をマーケティングに投資しました。

投資先は、従来型のスキー雑誌への広告出稿ではなく、
モバイル端末を利用したジオターゲティング広告でした。

施策内容は、スキーシーズン中のアメリカで、モンタナ州のスキー場に関する広告を、
「スキーグッズの販売店」や「スキー場に近い空港」、
「他のスキー場を利用しているユーザー」にターゲットを選定。

また、モバイル広告と同時進行で、「ジオフェンシング」を設置しました。
これにより、広告を見たスキーヤーがどの程度、
モンタナ州を訪れたのかデータを蓄積できたのです。

これらのジオターゲティング施策の結果、モンタナ州は690万ドルの収益増を獲得しました。

このように、ターゲットを絞り込んだ上で、効率の良いマーケティングを行えば、
的確にターゲット層に訴求することが可能。

(出典:共同印刷株式会社 https://hc.kyodoprinting.co.jp/trend-004/

日用品メーカーの事例

食洗機の洗剤は、そもそもご家庭で食洗機を所有していなければ、必要としない存在です。
つまり、通常のターゲティング広告では、販促効果が上がらないという課題が存在していました。

そこで、ジオターゲティング広告を導入し、
食洗機が導入されているマンションの住所を洗い出し、詳細なターゲットを選定。

その結果、確実に食洗機を利用しているターゲット層にリーチすることに成功しました。

それにより、リスティング広告やSNS広告導入時よりも、3倍以上の効率で達成することができました。

(出典:Cinarra Systems Japan 株式会社 https://cinarra.co.jp/blog/1361/

 

まとめ

ジオターゲティング広告は、実店舗を抱える企業がマーケティング戦略を考える場合には、
非常に有効な施策です。
特に、エリアを事前に指定して「今ここにいるユーザーに向けた広告配信」と
「過去にその場所に訪れたことのある人へ向けた広告配信」を可能にします。
自社店舗来訪者に対する広告もしくは
競合サービス利用者に対しての広告などいろいろな方法で広告を展開することができます。

 

Relation関連記事

More articlesその他の記事