広告効果とは?広告効果モデル、媒体ジャンルごとの広告効果測定方法を解説

#広告コラム

最終更新日:2021年07月10日

現代では、多くの製品市場は成熟し、製品の同質化や多様化が進んでいます。
そのような中で、インターネットの急速な普及と共に広告媒体も急激に変わりつつあります。

インターネット広告が主流になり、消費者の購買行動にも変化が生じました。
これまでのマーケティングにおける購買行動モデルのみでは対応しきれなくなったのです。

このように広告を取り巻く環境は目まぐるしく変化しました。

ここでは、広告についてもう一度原点に帰り、広告効果とは何なのか。
また、ネット広告を活用するのは当たり前の時代。
ただ、狙うターゲットによっては競争が激しい、
もしくはターゲットとしてネット広告では効果が見込めない可能性もございます。
そのため、「リアル媒体も含めた広告効果測定方法」について再確認していただき、
最適な媒体に出稿するためのお役に立てれば幸いです。

広告効果とは

広告効果(Advertising effect)とは、広告の訴求対象に生じる
広告露出前と露出後における変化(行動変容やレスポンス等)のことになります。

事前に設定した広告計画がどの程度、達成されたのかを期末に
訴求ターゲットへのアンケート調査等で測定し把握します。

広告効果の把握は、期初の広告計画における目標を明確にしておく必要があります。

また、ネット広告が主流になりつつある現在では、
バナー広告やリスティング広告、メルマガ、SNS、SEOなど多様な施策が存在し、
それぞれで広告効果の測定を正確に行わなければなりません。

以前よりも、より複雑で幅広い知識が必要となっているのです。

ですが、これらの広告効果を正しく測定することができれば、
コンバージョンに至るまでのユーザーの行動分析や、
広告以外の流入施策なども可視化することが可能になります。

そこで、次章では一般的な広告効果モデルや媒体ジャンルごとの
広告効果測定方法とそのツールについてご説明いたします。

広告効果モデル

広告効果モデルには、目的と関連して大きく分けて3通りの考え方が存在します。

具体的には、「マーケティング・ミックスモデル」と
「効果階層モデル」、「統合モデル」になります。

このうちマーケティング・ミックスモデルは、広告以外の製品や価格、
流通などもミックスさせた考え方であるため、
ここでは、広告効果モデルの「効果階層モデル」についてご説明します。

効果階層モデルとは、広告への反応がある順序に従って
起きると仮定したモデルのことで。代表的な例としては、「AIDMA」と「AISAS」があります。

それでは、AIDMAとAISASについては次の通りです。

AIDMAの法則について

「AIDMAの法則」とは、1920年代にアメリカで販売・広告の実用書の著者であった
「サミュエル・ローランド・ホール」氏が、
広告宣伝における消費者の購買プロセスを示した法則のこと。

消費者の購買モデルの雛型として用いられることが多く、次の5つのプロセスから成り立っています。

A(Attention)認知
I(Interest)興味・関心
D(Desire)欲求
M(Motive)動機
A(Action)行動

AIDMAの法則は、マスメディアである「テレビ」、「雑誌」、
「新聞」や「ラジオ」が普及した頃にマッチした消費者の購買プロセスを示したもので、
上記表の頭文字をとって、「AIDMAの法則」と言います。

まず、消費者が商品を認知して、認知した商品を手に取り興味が湧き、
実際に手に入れたいという「欲求」が引き起こります。

さらに、欲しい商品が記憶に残り、実際の消費行動につながるという流れです。

マスメディアが中心だった頃には、このAIDMAの法則が一般的でしたが、
その後、インターネットが急速に普及すると
消費者の行動パターンに検索と共有というパターンが生じます。

これこそが、次章でご紹介する「AISASの法則」です。

関連まとめ
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AISASの法則について

広告効果の階層モデルの中の「AISASの法則」は、
AIDMAの法則が登場した1920年代から70年以上が経過して登場した
新しい消費者の行動プロセスになります。

AISASの法則は、株式会社電通によって提唱され、広く知れ渡ることとなりました。

AIDMAの法則を、インターネットが普及した時代に合わせて
適用できるようにしたモデルと言われています。

AISASの消費者行動プロセスは、以下の通りです。

A(Attention)認知・注意
I(Interest)興味・関心
S(Search)検索
A(Action)行動
S(Share)共有

簡単にご説明させて頂きますと、
インターネット時代に対応できるよう、
検索と共有の行動が追加されています。

インターネット時代の消費者は、商品やサービスを認知し、
それらの商品に興味を持ちます。

興味を持った段階で、これまでのAIDMAの法則にはなかった
「検索」という行動に移行するのです。

多くの方が、商品やサービスの詳細や同じサービスを使った人の
口コミなどを検索しますよね。

そして、この「検索」という行動に基づいて購入意欲が高まれば、
行動つまり商品の購入につながります。

また、特徴的なのは行動の後に定義されている「共有」です。

インターネット時代の消費者は自身が商品を購入するだけでなく、
購入した後もその商品の感想や使い心地を多くの人に共有します。

検索エンジンを使って商品を検索し、
購入した商品をSNSを通じて「共有する」。

まさに、現代にぴったりの消費者の行動といえますね。

広告媒体ジャンルごと効果測定指標

ここでは、広告媒体ジャンルごとの効果測定指標について詳しくお届けします。

効果測定とは、自社商品やサービスを提供する際に行われる広告出稿において、
その広告を出稿したことによる顧客のレスポンス件数はどのくらいなのかを測定することを言います。

マーケティングにおいては、結果のみを検証するのではなく、
たとえば出稿した広告のデザインによって、どの程度行動変容したのかを分析することも重要です。

ここでは、行動変容の効果測定でなく、
レスポンスを中心とした効果測定について様々な算出式がありますから、1つずつ確認していきます。

広告媒体によって、効果測定指標はさまざまで理解するまでは大変かもしれませんが、
効果測定をしっかり理解することで適切な販促効果を測定できます。

ぜひ、参考にしてみてください。

テレビCMの効果測定指標について

テレビCMを制作し放映した後、商品の売り上げなどが向上しても
本当にテレビCMによる貢献があったのかを測定することはできないです。

そのようなテレビCMの効果測定指標としてあげられるのが「GRP」と「GAP」です。

これら2つの指標を確認して、効果測定をしてみましょう。

GRPについて

GRPとは、「Gross Rating Point」の頭文字をとった略語になります。

「延べ視聴率」とも呼ばれ、テレビCMが放映された時の毎分の
「世帯視聴率」を計測し、それを全て足すことで算出する計測方法です。

具体的には、毎分視聴率が10%だとし、その時間帯に2本のCMを放映。
毎分視聴率が、5%の時間帯に3本のCMを放映したとすると、35GRPと算出できます。

<GRP算出式>

(10%×2本)+(5%×3本)=35GRP

そのほか、GRPは、CM放映以前にそのCMを流す時間帯や
頻度を決める際の指標としても使用されているのです。

また、その際は世帯到達率と
平均接触回数のかけ合わせによって、このGRPを算出します。

GAPについて

テレビCMの効果測定指標の1つGAPは、
「Gross Attention Point」の頭文字
を取っており、「テレビ画面を注視している割合」を計測し、
その合計値を算出する方法のことです。

GAPは、「延べ注視量」とも呼ばれています。

GAPの特徴としては、センサーカメラを使用し顔認識ができるため、
誰が見ているかを識別できます。

実際に、人物が画面を見ているのか
画面の注視度合いを測定できるのがポイントです。

紙媒体の広告効果測定方法について

続いては、紙媒体の効果測定方法について解説させて頂きます。
主に、新聞広告や雑誌広告、チラシ広告、
単独DMではどのように効果を測定したら良いのでしょうか。
ぜひ参考にしてください。

一般的に、テレビCMの場合には、前章でもご紹介した通り
「GRP(Gross Rating Point)」と呼ばれる指標を使って効果を検証します。

一方で、紙媒体の多くが「CPR(Cost Per Response)」や
「CPO(Cost Per Order)」と呼ばれる広告効果測定方法を用いています。

また、折り込みチラシなどでは「反響率」を活用した効果測定方法があります。

それでは、1つずつみていきましょう。

CPRについて

CPRは「Cost Per Response」の略となり、
広告媒体などから成果(コンバージョン)があった際に発生する
1件あたりの顧客獲得コストになります。

この場合の成果とは、お試しサンプルや会員登録などを意味します。

よくマーケティングで混同されがちなこととして、
「CPR(Cost Per Response)」と「CPA(Cost Per Action)」の
違いがわからないという問題があります。

ですが、基本的にはどちらの概念も会員登録や
お試しサンプルなどの広告にかけた費用のうち、
どのくらいアクションや
レスポンス(資料請求・申込・注文)があったかを示すものです。

CPRは、ネット広告が対等する前に活用されていた言葉になります。

それでは、肝心なCPRの算出式になりますが、以下の通りです。
非常にわかりやすく算出式で効果を測定することが可能となります。

<CPRの算出式>

広告費÷申込件数=CPR

<CPRの算出例>

広告費に100万円を投入し、無料サンプルにお申し込みが500件あった場合の事例。
100万円(広告費)÷500件(申込件数)=2,000円(CPR)

 

CPOについて

CPO「Cost Per Order」は、新規顧客に本商品や定期コースを購入してもらうための、
1件あたりの広告費用を意味します。

つまり「新規顧客獲得単価」とも言えるでしょう。
新規顧客獲得単価が低ければ低いほど、
利益率が大きくなって、広告費を投入しやすくなります。

広告費が投入しやすくなると、
獲得できる新規顧客が増えてさらに利益が増えるという構図となります。

つまり、CPOはマーケティングを左右する重要な数値といえるでしょう。

では、CPO(Cost Per Order)の算出式をみていきましょう。

<CPOの算出式>

広告費÷受注件数=CPO(Cost Per Order)

<CPOの算出例>

広告費に100万円を投入し、400件の新規購入があった場合の事例。
100万円(広告費)÷400件(受注件数)=2,500円(CPO)

上記の場合、新規顧客獲得にかかった費用は、
2,500円ということになります。この2,500円がCPOです。

反響率

「反響率」は、折り込み広告や単独DMなどで使用される効果測定指標の1つです。

チラシ配布枚数に対して、どのくらいの反響があったのかを示す値が「反響率」となります。

反響率を求めるには、反響人数をリーチ数で割り算をした値となります。

ちなみに、反響とはチラシを見て来店した人数や、
電話による問い合わせなどの顧客からの何らかの反応があった数を示します。

<反響率の算出式>

反響人数(実際に反響があった人数)÷リーチ数(チラシ配布枚数)×100=反響率

<反響率の算出例>

例えば、チラシを1万部配布し、
50人から反響があった場合には以下のように求めることができます。
50人(反響数)÷10,000枚(リーチ数)×100=0.5%(反響率)

このように、折り込みチラシなどの広告効果がうまく作用していない場合には、
「チラシ配布枚数不足」か「反響率不足」かのどちらかの原因しかありません。

リーチ数が十分であるのに、反響率不足に陥っている場合には、
「ターゲット」・「メッセージ」を見直す必要があります。

ターゲットとは、対象者のことを意味し、
どのようなニーズを分析しどのような対象者を選んだのかということです。
対象者のニーズと販促する商品やサービスが合っていなければ、反響はかえってきません。
そのターゲットに届けるためにどの媒体に広告を出稿したかも合わせて重要になります。

メッセージとはチラシの内容になります。折り込みチラシに掲載されている商品や、
キャッチコピー、オファーなどがマーケットと合致していないと当然のことながら反響も少なくなってしまいます。

新聞やチラシを活用する際は、ぜひリーチ数と反響率を分析してみてください。
媒体とメッセージ(広告内容)では、35対65でメッセージのほうが重要になります。

ネット広告の広告効果測定方法について

続いては、ネット広告における広告効果測定方法についてみてきます。
ネット広告の広告評価を行うには、「CV数」や「CPA」を行うのが基本的な考え方です。

また、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)も合わせて算出します。
ここでは、クリック率とコンバージョン率の算出方法をご紹介します。

クリック率(CTR)

クリック率とは、表示された広告がクリックされた割合を示すものです。
CTRは、「Click Through Rate」の略で、算出方法は以下の通りです。

<CTRの算出式>

CTR=広告のクリック回数÷表示回数(×100)

たとえば、サイトの表示回数が同じでもバナー広告の訴求内容を変更するだけで、
クリック率が高まり、CTRが改善するということもあります。

ABテスト等によってクリック率の変化を分析すれば、最適なマーケティングを行えます。

コンバージョン率(CVR)

コンバージョン率とは、対象のウェブサイトやランディングページに
流入しコンバージョン(成果)が発生した際の割合のことを示します。

CVRは、「Conversion Rate」の略で、算出方法は以下の通りです。

<CVRの算出式>

CVR=
CV数(実際に商品購入などの成約が発生した数)÷広告のクリック数(×100)

<CVRの算出例>

ウェブサイトのアクセス数(ページビュー)かユニークユーザー数)が、
1,423PV(UU)で申し込み数が42回の場合。
42回(申込件数)÷1,423PV(UU)×100=2.95%(CVR)
※アクセス数の定義は広告評価者によって決めてください。

 

CVRは、広告運用で最大化すべき広告指標といえるでしょう。

たとえば、ウェブサイトのバナー広告をABテストの結果、
差し替え、クリック数は改善したのにCVRが改善しない場合には、
クリックした先のランディングページと訴求内容が一致していない可能性もあります。

もう一度、出稿状況を確認しましょう。

クリック単価(CPC)

CPCとは、「Cost Per Click」の略で、
ネット広告を出稿するときの費用算出方法の1つで、
広告クリック1回あたりの費用のことを意味します。

リスティング広告に代表されるような
クリック課金型の広告に用いられているものです。

クリック課金型の広告とは、
クリック数に応じて広告主が広告費用を支払う形態のことです。

算出方法は、以下の通りです。

<CPCの算出式>

CPC(クリック単価)=広告出稿費用÷クリック数

もちろんCPCが安ければ安いほど、コスト軽減につながりますが、
あまりCPCにとらわれてしまうのはよくありません。

CPCが安くなるということは、広告出稿費用と比較して
クリック数の割合が多いということを意味しますが、
そもそもウェブマーケティングにおいてクリック数よりも
重要な項目にCV数やCPAがあります。

どれだけCPCを安く抑えることができても、
本来求めているコンバージョンにつながらなければ意味がありません。

なぜなら、商品認知のために広告を出稿しているのではなく、
実際に購入してもらうために広告を出稿しているからです。

このように、CPCは非常に重要な指標であるものの、
そこだけに捉われずにCPAやCVRなども同時に視野に入れて、
プランニングをする必要があるのです。

必要に応じて紙媒体とネット広告を使い分ける

ここまで紙媒体とネット広告の効果測定方法についてご紹介しました。

現在は、紙媒体よりもネット広告の方が主流となっており、
一見ネット広告に力を入れるべきだと感じるかもしれませんが、
これは間違いです。

ネット広告の特性として、広告を出稿する場合でも多くの国内、
国外問わず多くのライバル企業と争わなくてはいけません。

たとえば、検索キーワードによって出稿できる「リスティング広告」では、
人気のキーワードの場合、多くの競合他社がおり、
広告費用も膨大にかかります。

その反面、明確に販促すべきエリアやターゲット層が決まっている場合には、
チラシ広告などの紙媒体の方が、
ピンスポットにマーケティングを展開できるでしょう。

リーチ数を最適化し、マーケティングを行えば、
必要最低限の広告費用で反応率を獲得できますよね。

このように、主流はネット広告だからといって
やみくもにネット広告を出稿するのではなく、
時には紙媒体も織り交ぜながら、
その都度広告の効果測定を行うと良いでしょう。

まとめ

今やどの企業も当たり前に導入しているネット広告。

ですが、ネット上に広告を出稿することで、
参入するジャンルによっては、レッドオーシャンの中に飛び込むようなものです。

まずは、自社が販促したい商品やサービスはどの広告形態がベストなのか判断をし、
それから広告出稿を考えましょう。

紙媒体だけでも、新聞や雑誌、チラシ、単独DMと非常に豊富な形態があります。
それぞれの形態の特徴については、
別記事で解説しておりますので、そちらも参考にしてください。

関連まとめ
広告媒体の23種類を総まとめ、広告目的にあった最適な媒体選定とは

 

これらの広告形態の中から、最適なものを選び、
今回ご紹介した効果測定方法を導入して、
最適なマーケティングを展開していきましょう。

 

 

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